院長挨拶
当院は昭和6年に筑紫保養院として発足し、最大500床までの増床改築を経て昭和41年に名称を福岡県立太宰府病院へ変更しました。現在も脈々と受け継がれている、(患者さんと共に歩む)作業療法を中心としたリハビリテーション(社会復帰療法)の素地は、この頃に作り上げられたものです。
平成7年には県立病院改革計画に則って病院機能を転換し、精神科救急医療、中毒性疾患、重症かつ慢性患者さんへの対応、身体合併症(結核)等民間では対応困難な精神科医療を行なう施設として舵を切りました。平成10年には、福岡県の精神科救急医療システムに当番病院及び拠点専門病院として参加し、平成13年には全面改築工事竣工(300床)し現在の病院が出来上がりました。
更に平成17年には、医療・介護・教育研究財団を指定管理者として、精神科自治体病院としては初の公設民営化が行なわれ、県立病院としての公的な役割、使命を果たしつつも、柔軟で効率的な人材配置や財源の運用を通して、経営の健全化が進められました。平成22年には日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価の認定を受けています。
現在当院は、福岡県の精神科医療を担う中核施設として、精神科救急医療、アルコールリハビリテーションプログラム(ARP/Zeroの会)、薬物依存症治療プログラム、司法精神鑑定、医療観察法鑑定と医療観察法通院処遇の受け入れ、結核医療、修正型電気けいれん療法、クロザピン内服治療、発達障害や引きこもりを含む児童思春期症例の受け入れ、認知症医療、デイホスピタル、作業療法、訪問看護、心理(疾病)教育、家族教室、家族会の運営、地域医療連携および退院支援、心理カウンセリング、各種心理療法(SST、認知行動療法他)、行動制限最小化、服薬指導、処方の適正化単剤化、各種新薬の治験、栄養指導等々、広い守備範囲のすべてに於いて鋭意取り組みがなされており、外部からの見学や研修希望者は増え続けています。
当院の基本理念である「患者さんのために 患者さんとともに」は、精神科医療は勿論のこと、精神医学でさえ、個々の患者さん不在ではそもそも存在し得ないものであることを改めて認識し、患者さんの訴えに常に耳を傾け正面から向き合うという、私たち医療者としての揺るぎない基本姿勢を示したものです。今後は、ますます地域や県民の皆様に開かれた敷居の低い病院、質の高い安全な医療を提供できる病院になるよう力を入れて参りますので、何卒宜しくお願い致します。
院長 小嶋 享二