薬物依存症

薬物依存症とは?

薬物依存症は、自分の意思では薬物の使用をコントロールできなくなってしまう精神障がいの一つです。覚せい剤、大麻などの規制薬物を使用することで仕事や信用を失ったり、家族がバラバラになったり、服役したりしても、なかなかやめる事が出来ません。しかしそれは決して意思が弱いからでも、反省が足らないからでもありません。薬物を使った事のある脳は、いつまでも薬物の快感・解放感を記憶していて、その人の思考や感情を支配してしまうからです。また、依存症薬物の中には覚せい剤、大麻、有機溶剤などの違法性薬物だけではなく、病院で処方される睡眠薬や安定剤なども含まれます。

当院は薬物依存症専門医療機関として、薬物使用障害を抱える方を対象に、外来通院治療プログラム(D-MARPP、全24回)を提供しています。認知行動療法をもとに、薬物依存症に対する正しい知識や欲求への対処の仕方を学びます。薬物に対する自身の認知(見方、考え方、価値観)を検討し、その認知を変える事で薬物に頼らない生活を身に付けていきます。

治療の具体的内容(当院での流れ)

受診(インテーク面接)

オリエンテーション
(テキスト、参加にあたっての注意事項などをお伝えします。)

同意・検査(同意書に必要事項を記入していただきます)

セッション開始

治療プログラム

  • 日時:毎週月曜日 13:30~15:00(プログラムの前後で医師の診察を受けて頂きます)
  • 定員:10名程度
  • 内容:SMARPP24を基に作成した当院のテキストを使用します。

*医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士など多職種スタッフでテキストの内容に沿ってグループワークをしながら、個別もしくは小集団でプログラムを実施していきます。

  • 1クール終了後も継続して参加する事も出来ます。

※参加を希望されるかたは、外来看護師または1階受付窓口でお申込みください。詳しくは精神保健福祉士よりご説明いたします。

セッション例

  • 依存症という病気を知る

意思の問題ではない事、コントロールができないという事など、まずは依存症という病気の特徴について正しく知ります。

  • 薬物のある生活からの回復段階

自分が回復のどの段階にいるかという事を考えながら、自分の回復をすすめていくことはとても大事なことです。障壁となるものも想像しながら作戦を立てます。

  • あなたの周りにある引き金について

自分を取り巻く環境の中の引き金を学習して、うまく引き金を乗り越えられるようになるための錨を話し合います。欲求に流されない、薬物に向かう手を止める「錨(いかり)」を一緒に考えます。

最後に

薬物依存症は本音を語れる場、病気について学んでいける場がまだまだ少なく、しかも一人だけでは止め続けていく事がとても困難な病気です。まずは病気について正しく知る事、想いを語り合うことから始まります。是非当院のD-MARPPを活用し、病気の本質を知り、薬物なしでも生きていくための新しい生き方を考えていくことに一緒に取り組んでみませんか?皆さんの勇気ある一歩をお待ちしています。