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医長 川島敏郎

太宰府病院の医長 川島敏郎先生に高齢者のうつと認知症についてお話を伺いました。
医学博士として、地域医療に尽力される川島先生の見解をお届けします。


――川島先生、太宰府病院とはどのような病院でしょうか?

太宰府病院の正式名称は「福岡県立精神医療センター太宰府病院」といいます。名前にもあるように県立の病院です。
開設者が福岡県ですから、病院の土地や建物は県の所有になります。
そのため、福岡県民にとって必要な精神科専門の医療を提供することを担っています。
福岡には多くの精神科病院、クリニックがありますが、他の県立以外の民間病院やクリニックでは提供が難しい医療を県民の皆さまへ提供する任務を背負っており、それが私たちの責務だと思っています。
では具体的にどういった患者さんが多いのかというと、一つは精神科救急と言われる、特に時間外や夜間、土日祝日などの時間帯に何らかの問題行動が起き、多くは警察官がよって保護されるケースの患者さんの対応、あるいはご自身で、またはご家族が救急車を要請された患者さんの対応というのが大きな柱の一つでであり、この病院で受け入れる患者さんのタイプとなります。

――川島先生はどのような疾患の患者さんを担当されていることが多いのでしょうか?

当院では基本的に疾患別や専門外来というのは設けていませんので、順番に来院された患者さんを診ます。特定の疾患に特化した診療体制というわけではありません。

――外来受診相談を受けいれると、高齢者のうつや認知症かどうか診察して欲しいという相談が非常に増えてきています。太宰府病院ではどのような治療が可能でしょうか?

一言で高齢者のうつ状態といっても、原因は様々です。そのため、まずは来院いただいた段階で、患者さんの必要な診察や検査を行い、何が原因でうつ状態になっているのかということを調べていきます。
特に高齢者の場合は若い人のうつ病とは異なり、認知症の初期段階であったり、あるいは他の身体の病気、例えば、脳梗塞やパーキンソン病など、他の病気が隠れていることも多いため、そのようなものがないかどうかをまずは検査していきます。その上で診断に応じた治療を行っていくというのが基本的な流れになるかと思います。
つまり、高齢者でない一般の患者さんとは異なる対応が必要になるということです。

――「うつ」や「認知症」とは別に「不定愁訴」例えば体のあちこちが痛い、体のどこかが違和感があると言って、内科や脳神経外科などいろいろなところを受診しても、結局どこも異常がなく、最終的に精神科へつながる患者さんも多いですが、このような症状にはどのような治療が考えられますか?

その質問の前に、せっかくなので認知症の話もしておきます。
認知症には、最も有名なアルツハイマー型認知症というのがありますが、それ以外にも、脳血管性認知症とか前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症などいくつか種類があります。
特に当院の場合は、アルツハイマー型認知症の方の割合が他の医療機関よりも比較的少なく、それ以外の方が多いと思います。
つまり、頻度が少なく、対応が難しい患者さんが集まりやすい傾向にあります。
そのため、民間の精神科病院では対応が難しい患者さんを引き受けることが多くなります。
先ほどのうつ病の話とつながりますが、まずはしっかりと必要な検査、診察をした上で診断をする、そしてそこから必要な対応を行っていくということになります。
認知症の治療というのは、大きく二つに分けることができると思います。
一つは、その低下していく認知機能をなんとか保つ、あるいは回復させる。そこまで至れば理想的です。
もう一つは、認知症の認知機能の低下以外の症状、周辺症状などの治療です。例えばBPSDと呼ばれる、徘徊してしまってどこ行ったかわからなくなる症状や、ちょっとしたことで怒り出して家の中で暴れる、あるいは夜間にふらふらと起き出して、訳のわからない行動をする、冷蔵庫の中のものを急にあさって食べだすなどの対応です。
このように大きく二つに分けることができると思います。
認知機能の低下を予防する、あるいは進展を遅らせるという治療がいろいろ進んできていますので、そういった治療というのはもちろん行っていきますし、同時に周辺症状への対応、これはまさに精神科でないと難しい部分ですが、薬物療法や介護への対応、具体的なアドバイス等を通じて、本人の周りにいらっしゃる介護者が少しでも楽にできるようになることも心がけています。
そして、次はその不定愁訴について。

――不定愁訴は身体のあちこちが痛いなどでいろいろな所を検査しても、特に悪いところはなく、最終的に精神科につながるような相談、受診というのは、先生どのように治療されていますか?

いわゆる不定愁訴と呼ばれる、体の症状を訴えるけども、実際内科等で検査すると特にこれといった異常がないといった方というのは、一定の割合でいらっしゃいます。
若い方にも見られますが、高齢者も多く、特に最近では高齢化とともにそのような患者さんは増えており、我々もその対応を求められています。
最初に必要なのは、何か身体に症状があれば、例えばお腹が痛いということであれば、まずは内科で診てもらうことが大前提となります。
診てもらっても異常が無く、セカンドオピニオンを受けても問題がないとなると、内科の病気ではないらしいということになりますので、私たちのところに受診していただきたいと思います。
身体の症状、どこかが痛い、何か違和感があるというのは、お腹であればお腹に異常があっても起こるわけですけが、最終的にその痛みや違和感は、脳で感じるわけです。
体に異常がなくても、脳に何らかの誤った信号が送られていると、痛みや違和感という形で患者さんは自覚します。そのような対応が私たちの専門ということになりますので、実際来ていただいて治療を受けられると、多くの方は症状が緩和したり改善、あるいはすっかり良くなる方もたくさんいらっしゃいます。そのような症状で悩んでいる患者さん、またはご家族がいらっしゃいましたら、ぜひ受診をされてください。
まずは内科に行かれた後で、当院へ受診をしていただければ、あるいは内科の先生から紹介をいただければと思います。

――ありがとうございます。

医長 川島 敏郎

  • 医学博士(九州大学)
  • 精神保健指定医
  • 精神保健判定医
  • (公社)日本精神神経学会 精神科専門医・指導医
  • 臨床研修指導医
  • 一般病院連携精神医学専門医
  • (公社)日本老年精神医学会 専門医・指導医

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